おはなし
ともかくそのタカシから詳しい話を聞くことにした。 が、いまいち要領を得なかった。 それもそのはずで、タカシはタガログ語しか喋れない。 このあたり、何故にフィリピンなのか理解にくるしむが、タカシにとってもそこは謎らしい。 余談になるが、その点に…
「信じられないことだが、この日本という国には数多くの隠れた失業者がいるらしい」 そんな話をファミレスの駐車場でインドから来たというタジリ・ラーニャマルさんとイランから来たというメコスケル・ガバディさん、そしてイギリスから留学中のボブ・ハスキ…
赤ちゃんパフェなるものがあるとの噂を脳内レストランで耳にしたので、早速行ってみることにしました。 店内に入ると、そこは赤ちゃん連れのお母さんだらけ。 中にはどう見ても親父だろと思う年配の老け顔の赤ちゃんもいましたが、周りのお母様方は特に気に…
「ティーチャーがこないぞー!」 「ティーチャーはどこだー!」 「うぇるかむ、てぃーちゃ!」 教室に響き渡る怒号。 ひっくりかえる花瓶と泣き出す女子生徒。 一体何が起こったのかわからず右往左往する男子生徒。 今まさに、そこは戦場であった。 レポート…
張鈴は中華街でも名のある士の娘で、とても美しかった。 彼女が歩けば、その後を何人もの男が着いていくのが常だった。 「あらまあ、張鈴ちゃん。今日はお一人かい?珍しい日もあるもんだねえ。」 「もう、おばさんたら。ちゃんはよしてよ。私はもう子供じゃ…
ここは中華街。 多くの華僑が訪れ、自身の夢を叶えてゆく場所。 今日もまた一人、腕一杯にタンメンを抱えた男がこの道にやってきた。 男の名は、劉典。 まだ20歳の若者だ。 彼のポケットには片道の切符があった。 しおしおになっている切符であったが、そ…
贅の限りを尽くしたビーフストロガノフ。それが今日の昼食だった。いや、ビーフストロガノフだけではない。キャビアにたらこ、フォアグラにフカヒレ。世界中のありとあらゆる珍味がテーブルの上に並んでいた。 私は思わずフォアグラに手を伸ばした。フォアグ…
「くそう、またしてもモミアゲマンごときにやられたのか・・・。」 「違います軍隊長。我々をやったのはモミアゲマンではございません。ハナゲマンです。」 「ぬわんだとっ!ハナゲマンだと!?また新たな敵が出現したというのかっ。・・・モミアゲマンだけ…
ひろしには悪いことをしたが、そのボンボンは私がもらったものなのだ。ボンボンは既にふたつにわっており、そのうち片方は半分までちゅぱちゅぱしてある。もう片方においては、先端を完全に舐めてある。これらの行為は、決して映画版のタッチに出られなかっ…
最近、こんなお手紙を視聴者の方から受け取りました。 「はじめまして、こんばんは。ちょっとした事なのですが、バスフィッシングで有名な道頓堀博士に聞いていただきたいと思い筆をとりました。最近、ワードで文書を書く機会が多くなったのですが、そこで一…
「だから貧乏って嫌いよっ!」 スリッパを旦那の顔に投げつけると、昌子は裸足のまま家を飛び出した。 その後、昌子の姿を見たものは誰もいない。 =完=
外に出ると雨が降っていた。 ぽつりぽつりと頭上に落ちてくるこの雨は、やがて雷雨と共に豪雨へと変わった。 激しく殴りつけるかのように雨が落ちてくる。 とっさに家に入りなおした。 「今日は危険だ。」 そう思った。 またしばらくすると、雨脚はさらに強…
「今日がんばれば、明日からは5連休が待っている!」 そんな甘い言葉にだまされて、男は東の国へやってきた。この国では誰もが仕事を持っている。毎日何かしなければ生きていくことすらままならない、そんな忙しい国だ。 当然、男もまた何かしらの仕事に就…
「おい、兄ちゃん!俺のカレンダーどこやったよ!」 「なんだよ、弟!お前のカレンダーそこにあるじゃん!」 「あったよ、兄ちゃん!俺のカレンダータンスの上にあったよ!」 「たのむよ、弟!自分の物くらいしっかり管理しとけよ!」 「みろよ、兄ちゃん!…
朝起きるといつもより喉が少しいがらっぽい。が、そのことを気にも留めず風呂に入り、ご飯を食べ、外出の準備をする。ちょうど時計が5時を回った頃だろうか。昨日のすさまじい雨、その雨に見舞われた中、必死に自転車をこぐ男の姿が脳裏をかすめた。彼は紛…
サレアーニオ「おい、まて。行くなタクシー。」 モーグリオ「行ってしまったね・・・。愛には弊害が多いと聞く、これもまたそういうことなのだろうね、サレアーニオ。」 サレアーニオ「ええい、タクシーはやめだ!それよりほら、あそこを見ろよ、モーグリオ…
モーグリオ「それが噂の黒いブリーフか。」 サレアーニオ「そうさ、これが黒いブリーフ。一振りすれば豚のヒヅメも真っ二つ。愛を語る暇さえもあたえず揺れ動くベランダのハンカチーフのように、このブリーフもまた小刻みに揺れてはただただ皺を作る。そうし…
東京の裏通りにある古めいたバー”ヨシモト”。そこは男と女の出会いと別れの場であった。今日もまた一組のカップルがここを訪れる。 そこでダンディーは呟いた。 「俺の・・・俺の財布に君への答えが入ってる。」 「財布?あなたの?あなた、財布なんていつか…
〜これまでのはなし〜 スティック型のパンが失踪した事件が私の部屋で起きた。密室のはずのこの部屋で、私しかいないはずのこの部屋でパンが消えた。残ったのは無残にも引き裂かれたパン袋と、少々のこぼれパン屑。 今、名探偵の誉れの高いコナンが我が家に…
朝起きると、いや昼起きると目の前にはスティック型のパンが置かれてあった。このパン、スティックパンという名の通り、ただ長いだけのパンかと思うなかれ。どこからどう見てもおいしそうなのである。焼き具合といい形の滑らかさといい、まるで香ばしい匂い…
「ギャグではない。」 誰かが耳元でそう言った。右手で耳を塞ぐと、ボクは再び地図帳を広げた。さあ、空想の世界へ出発だ。妄想と言うと聞こえが悪いが、空想というとそう悪いイメージがないのはなぜだろう・・・。 ここはオランダ。 風車とチューリップの特…
ドイツを抜けたボクは、そのまま西を目指した。 気分を盛り上げるために「Go West」の歌を口ずさむ。地図帳を押さえる人差し指に力が入る。みなぎってきたwwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwww、ってな具合だ。 ところで、力の入れ方というのは古…
ここはビルの8階の大きな部屋。普段は会議なんかに使うらしいが、今日はボクだけの専用の場だ。その部屋の窓側の席に座る。流石に一人で冷房を使うわけにはいかないので、窓を開けた。さわやかな風が部屋に入ってくる。この風に誘われて、ボクはまた地図帳…
今日はボクが地図上の海外旅行にいってきたときの話でもしようか。 そうだな、あれはイルクーツクの東の小さな村に泊めてもらった時のことだ。そこの家のおばさんはとても優しい人で、ボクにロシア語のレッスンをしてくれた。 「おはようはグーテンモルゲン…
最近の俺はなんと言うか、とても疲れている。 仕事場では上司に怒鳴られ、部下からはお茶の1杯もついでもらえず。家に帰れば何事にも手厳しい女房に、この甲斐性なしとにがうりで叩かれる。そんな不安定な毎日を俺は過ごしている。これでは疲れてしまうのも…
遠く〜遠く〜はなれていても〜♪ ボクのことがわ〜かるよ〜うに♪ 力いっぱい羽ばたける日を〜♪ この街で向か〜えたい〜♪ Song by 槇原敬之 「遠く遠く」 俺はさすらいの美容師、ジョン・千次郎。 今は北九州の辺りをうろついている。 薄汚れたマントにベレー…
「パンツなんてあんな暑苦しいもんは、はいていられない。」 それが高校生の頃の俺のポリシーだった。 思い起こせばあの頃の俺は毎日がノーパンだった。 周りの奴らは皆、俺がノーパンだったことなんて気付いていないだろうな。仕方あるまい。高校生だったと…
そうこうしているうちに道に迷った僕らは、過去の航海日誌を読むことにした。 ○月×日 曇り 今日もテムジンの家は見つからない。近くに公園があるという話は聞いていたが、その公園すら見つからないのだ。このまま走り続けることに疑問を持つが、通りすがりの…
気が付けば自転車をこいでいた。 必死にこいでいた。 足立区のハリーポッターと呼ばれる男に会うために、僕らは必死で走った。 千住大橋に差し掛かる頃だろうか、雨がぽつりぽつりと降って来た。 やがてその雨は大粒となって僕らに襲い掛かる。 「もうだめだ…
足軽山で特訓を終え、ようやく地上に降りてきたら、時代は平成になっていた。 「こんにちは。平成の異端児、ジョージ・ウィリアムス三世です。」 おれっち、決して時代に取り残されたわけではなかとです。 時代が俺っちを呼ぶまで足軽山にて修行していたとで…