今日も事件があったりして

朝、テレビから聞こえてきたのは列車事故のニュースだった。
どうやら西日本の方で列車が脱線し、そのまま線路に隣接するマンションへと突っ込んだらしい。
これほど大きな事故が起こると、日本テレビだろうがフジテレビだろうが例外は無く、どこも特番を組んで放送している。
最もテレビ東京だけは独自路線であったことは言うまでも無いが。
むしろ、そこまでして報道しなければならない意味とは何なのか。
緊急特番が持つ力は、我々視聴者にその意味を問う時間すら与えない。
何度も何度も同じシーンが放映され、ただただテレビの前の私はそれを見続ける。
そのままテレビを消せばいいのだろうが、次に何か新しい情報が届くかもしれないという期待を持たせてくれる特番は、ある種の魅力を含んでいる。



「まるで映画のワンシーンのようだった。」
ブラウン管の中に出てきた男性は、事故の様子をそう語った。
「列車が宙に浮いた感じがしたら、どばーっと人がなだれ込んできて、どばーっと押し倒された。」
男性の後に出てきた女性は、そう語った。
こんな状況が自己の身に起きたら、まず相当なパニックになることは必至であろう。
しかし、テレビに登場する人たちは、やじうま風のおばさんを除き、皆冷静であった。
恐らく普段から映画やドラマ、ニュースなどで、そういった瞬間に人間がどのような行動をとっているのか、その情景を記憶に刷り込まれているのであろう。
ゆえに、これほどの事故が起きても、大きなパニックを引き起こす事なく、冷静に対処することが可能になるのではないかと思う。
なるほど、このような見方をするのであれば確かに、パニック障害への防御策としてこういった報道特番等のメディアにも、存在意義があるといえるのかもしれない。
しかし、全ての局で同じ内容を競って放送することには、いささか疑問を感じざるを得ない。
それは事故の報道というよりも、視聴率争いをしているかのようにさえ映る。
ならばいっそのこと、日本テレビは事故の全体像を。TBSは乗客・乗務員の安否情報を。フジテレビは事故の原因解明を。テレビ朝日は事故に対するドラえもん基金を。テレビ東京は独自路線を、といったように、予め各局毎に役割分担をしてもらいたいものである。



何はともあれ、今も尚続けられる救出活動に携わる人たちにエールを送りたい。
そして一人でも多くの人命を助ける、その誇り高き仕事に携われる人たちをうらやましく思う。
また、今回の事故で亡くなられた多くの人たちの冥福を祈る。