木曜洋画劇場〜

ガオグライがうちに着てから、早いものでもう半年が過ぎました。
彼はいつも、故郷のボルネオにいる母のことを思い出しては、床屋さんで水をぶっかけられる片岡鶴太郎のごとく泣き叫んでいました。


そんなある日のことです。
ガオグライが満面の笑みで我が家の庭先でスイミーをしていたのです。
それを見ていたおじいさんが彼に声をかけました。
ガオグライや、何をしているんだね?」
ガオグライは言いました。
「アア、オジイサン。イマ、サンを見ているのですヨ。」
「はて、サンとな?」
不思議そうな表情を浮かべ、おじいさんはガオグライに訊ねました。
「エエ、サンです。ほら、あそこに。」
そう言うとガオグライはニコヤカに天を指差しました。


「ホエエエエエエエーーー。」



ガオグライに言われるまま天を見上げたおじいさんは、あまりの太陽のまぶしさに奇声をあげると、後ろにひっくり返り後頭部を茶壷にぶつけてしまいました。
これでおじいさんの物語は終わりです。
その後、ガオグライがどうなったのかは、また別のおはなし・・・。