ネピアマン

ネピアティッシュは鼻にとても優しい素材でできているのです。



・・・そんなネピアティッシュから誕生したヒーローが、いま、私の隣にいます。
自称ネピアマンと名乗るこの紙は、全身をティッシュに包み込んだボディーを持っているわけです。・・・というかそれしかない、ボディーだけしかない。そして、このボディーの上部に申し訳なさそうについてる黒い点が目ではないかと密かに思ってる。


「ねえ、ネピアマン。君はどこから来たの?」
恐る恐る私は彼に尋ねてみた。すると、口というのかそれとも紙が破れたというのか、そんな紙の割れた箇所から彼の声が飛び込んできた。


「さあ、かみなさい。私でかみさない。」


「いや、その・・・そうじゃなくて。」
ネピアマンの思いもよらぬ返答に、思わず驚き立ちすくんでしてしまった。
このままではパパスの二の舞になりかねない。そう思い、痺れて動かぬ口を必死で開けようとしたその時だった。


「そうだ、私の頭の一部をあげよう。これでかみなさい。」




ビリリリリリリ!!!


「ふぐぉわああああああッ!!!」
ネピアマンの壮絶な叫び声が部屋中にこだまする。



・・・身体ではなく頭だったのか。いや、今はそんなところに突っ込みを入れている場合ではない。彼の自傷行為を止めなくてはならない。余りにも痛々しすぎる・・・。
「いや!痛そうなのはいいです!お願い、もうやめて!」
頭を千切り取るのをやめるよう必死で懇願してみた。


「・・・そうか、それは残念だ。」


その言葉になんだかほっとした。
どうやらただのティッシュ・・・もとい、話のわかる男らしい。


「とりあえず、出番が来るまでここに居させてもらっても構わないかね?」
「ええ、それは構わないですが・・・。」



こうしてネピアマンと俺の奇妙な同居生活が始まった。
この話はいずれまたどこかでしようと思う。