早期英語教育の是非

昨日の宣言通り、今日のテーマは早期英語教育です。
小さい頃から英語をやっておけば、今こんなに苦労することはなかったのにーと思っていらっしゃる方。また、このままでは日本は沈んでしまう・・・と英会話学校NOVAのCM並みに日本の将来に対し焦っておられる方。さらには、現在、小学生の息子娘を抱えるお父様・お母様方、私の拙い話に少々付き合っていただければ是幸いです。



 さて、ご存知の通り、昨今、文部科学省では、日本の公立小学校でも英語を教科として教えましょうという動きが強まっています。


「何をいまさら・・・。既に小学校で英語を教えてるじゃないなのさ。」


ブラックジャックピノコ風に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、いえいえそれまでの英語教育とは比べ物にならない程の授業が今後は待っているかもしれないなのですよ。

というのも、これまでの英語の授業は”総合的学習の時間”に行っていたわけで、せいぜいその授業時間は週に1時間あれば良い程のものでした(英語学習に積極的でない小学校では、さらに時間は少なくなります)。ところが、英語が教科になってしまうことで、その授業時間数は現状よりも大幅に増えることになります。おそらくは1週間に2〜3時間程、行われることになるでしょう。つまり、授業全体の中で占める英語の割合が現状の3倍へと急激に増加してしまうわけです。


そうなると、当然他の教科へと皺寄せがいきます。小学校における学習時間というのは限られていますから、どれかを増やせばどれかを減らさなければならなくなります。これに対し、文部省のお役人さんの中には、「授業を工夫することで足りない時間は穴埋めできる!」と豪語する人もいますが、果たしてそんなことが本当に教場にて可能なことなのか、私には甚だ疑問ですけれど・・・。



 では、何故に教科になると授業時間を増やさなければならないのでしょうか。
教科として扱うということは、すなわち、ある教科に対する児童の理解度が一定のレベルに達することを目標とするものであると言うことができます。これまで総合的学習の時間で行っていた時の英語学習は、あくまでも、”英語に触れ合う機会を作る”という趣旨のもであり、一定のレベルを身に付けさせるための勉強ではありませんでした。それが”教科”という資格を英語に与えることによって、児童に、明確に目に見えて分かる力を付けさせることを重視するようになるのです。ですから、児童に一定の理解力をつけさせようとするのであれば、それ相応の時間もまた必要になるというわけです。


 この点において、早期英語教育の実施を危惧する人が多数います。特に危惧しているのは知識人、および学者の層に多いです。我らが東京代表、石原慎太郎都知事もその筆頭です。
彼らが言うには、


「外国語とはそんな短時間で身につくものではない」とか、
「日本語力さえ無い若者が増えているというのに、国語をおろそかにして英語を学ぼう(英語の時間を増やそう)とは何事か」とか。


また説得力のあるところでは、
「教えれる先生がいないのに、時間だけ増やしてどうすんのさ?」
といった、なるほど御最もでございますといった意見があります。


特に最後の「教える事ができる先生がいない」に関しては、外人の先生を雇えばいいじゃんという意見もちらほらとありますが、これは財政面からいっても、また外人の先生の指導技量の点から言っても、外人が教えれば済むという単純な問題ではなく、極めて難しい問題であると言わざるを得ないのが現状のようです。


 そもそも英語と一口にいっても、米語に英語、フィリピン英語、オーストラリア英語、インド英語にシンガポール英語、ジャパニーズ英語(←世界で一番酷いといわれる発音を誇る英語)・・・と挙げればきりが無い程あります。当然のことながら、どこの国の先生を引っ張ってくるのかで教えられた子供に差がでます。


 因みに、、、


 イギリス英語はアメリカ英語をバカにするというのは有名な話ですが、昨今英語学習で大人気のオーストラリアに関して言えば、「オーストラリア訛りは聞いていて反吐が出る」と言う英米人も少なからずいるのです。さらにインドに至っては、「もはやあれは英語じゃないでしょ?」という英米人も多いです。じゃあ、イギリス英語ならいいのか?と言えば、これまた難しい。イギリス英語にも階層があり、労働者階級が使う英語(いわゆるコックニー。あのサッカーのベッカム様は自分は違うと否定してはいるものの、使う言葉はコックニーらしいです。)と貴族階級が使う英語は異なるわけです。その両者が同じ学校に赴任した場合、生徒からからかわれて喧嘩沙汰になったりしないか心配だったりするわけで・・・。そこにスコットランドとか加えると、もう祭りです。ドイツ語チックな英語の世界が見られたりします。そして同じ英語でも通じない可能性大です♪



”さあ、あなたはどれを選択する!?”


と、まさにライフカードもびっくりの選択合戦になるわけですが、来校してくれた先生がロシア人だったりなんかした日には、PTAおよび父兄の皆様方はどう対応するのでしょうか・・・。折角来てくれたのに、帰れ・・・なんていえないよね絶対・・・。by槇原敬之




 今日は、英語が教科になることで起こる弊害を中心に語ってみました。
いずれまた機会があれば、別の側面から当問題を扱ってみたいと思います。臨界期あたりなんかいいかもしれない・・・。