学食、その選ばれし者たち

そもそも近隣で食べると確実にワンコインが出るんだよね。
さらに、注文した物によってはエクストラコインが必要になるんだよね。
これが学食なら、ワンコインで半コイン戻る場合だってあるのよ。
確かに1回だけ食べるのならさほど気にならないかもしれない。でも2回、3回と回を重ねていくことによって、その金額の差は天文学的数値に達するかもしれないという可能性すら秘めているんだよ。



先日、こんな事を白金のセレブに話したらさ、こう返ってきたよ。
「学食が食べれないのなら、レストランにいけばいいじゃない。」



あぁ。
あいつら、ほんと何も分かってないよ。
いいか、レストランってのはな、もっと殺伐としたところなんだ。
シチュエーションによってはな、お前らの想像を凌駕する世界が待っているんだよ。
たとえば、一人で入るレストランを想像したことがあるのかと。
広い席に案内されて、メニューをどうぞと差し出された跡を見てみれば、もう一つ同じメニュー冊子が挟んであったりするんだよ。要するにここは二人以上の席だってことだ。にもかかわらず、そこへ一人でノコノコ来ちゃったんだよ。


ただでさえ、外見からいかにも高単価の賞品を頼まなさそうに見える奴に二人席の場所に座られてみろ。店としてはたまったもんじゃないだろう。その上、ドリンクバーなんぞ注文された日には、「いつ帰るんですか、お客様」ってな目で、隣を通り過ぎる度に見られるのがオチだ。


それにひきかえ学食はどうだ。



・・・一人。



そう、一人。



・・・いいじゃないか、一人でも。


ガクランを身に纏い、コックを閉めて、肘は45度をキープ、身体全体を使い山を描くようにして、お盆を囲うように腕を配置。もちろんペットボトルなんぞの外道のものは一切たのまない。男は黙ってお茶だ。セルフサービスのお茶を頂くのだ。夏、外がどんなに暑かろうともお茶。渋いではないか。
学食は元来、こういった渋い場所なのだ。
この場所でわいわい騒ごうなどとは不届き千万なのだよ。