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大学1年生の時にドイツ語の先生が言った言葉が忘れられない。
「みなさん、ドイツ語を嫌いにならないでください……。」
その時は気にも留めなかったが、今になるとなんであんなことを言ったのかがよく分かる。


ドイツ語がアルファベットを使う言語なのは周知の通りだと思う。
とはいえドイツ語のアルファベットは英語の26文字(ラテンアルファベット)よりも4文字多い。その4文字はウムラウト付きのアルファベットが3つと、エスツェットと呼ばれるもの、要するにSSってことだが、これを加えた30文字である。この30文字から数々のドイツ語が生まれてゆくわけだ。
あの有名なKugelschreiber(クーゲルシュライバー)もドイツ語だ。
もちろん簡単なアルファベットのみで構成されている。
日本語のような多種多様の文字が混在しているわけではない。
しかし、ここに大きな落とし穴がある。
Kugelschreiberは二つの言葉から作られている。
Kugelは玉。
Schreiberは書くもの。
この二つだ。
つまりKugelschreiberとは合成語なのである。
そしてこの合成語こそが曲者なのだ。