トリプルC、不良品発覚

先日、営業一課のりえちゃんから貰ったトリプルC。
まだあったんかい、この商品っ!
と突っ込みを入れながら飲んだ。
飲んで15秒後、テレビに緊急のテロップが流れた。


”トリプルC全品回収。バッタ混入の疑い”


「ブーーーーーーッッツ!」
胃の中のトリプルCを思わず噴いてしまった。
マジかよ、おいおい。
と、まだ手に握っていたトリプルCをまじまじと見る。
確かに……バッタの足っぽいものが浮かんでいる。
一瞬目の前が青ざめた。
その場にぶっ倒れそうになった時、広報のちりちゃんが駆けこんできた。
ちりちゃんは駆けこんでくるなり叫んだ。
「大変です!トリプルCが山のようにわが社に持ち込まれています!もう正面玄関はトリプルCのダンボール箱でいっぱいです」
いつもよりやや男前に見える部長が一歩前に歩み出た。
「そんなことより今晩どうだい?」
「部長、こんな人前でいけませんわ」
「ゴホンゴホン」
部長は咳払いしていたが、ばればれだった。
「このスケベじじいが」
俺の隣にいたスタイル抜群のりえさんと、その隣で腕を組んで様子を眺めていたお局様、柊さんの顔色が変わった。
一方、俺の椅子の下では天然っ子のちよちゃんがお茶を持ったまま震えていた。


後になって知った事だが、どうもわが社がトリプルCの取次代理店になっていたらしい。
正面玄関に積まれたトリプルCは、玄関だけではおさまらずに奥のエレベーターの前まできていた。
当然、このままでは帰れる訳もなく、就業時間が終わった後に俺たちはトリプルCを開けるハメになった。
2時間ばかり飲み続けた後、部長の顔を見た。
そこはかとなくバッタに似ていた。