石神井の色は輝く金色に染まり、夕陽が差し込むガマの穂は、星の輝きにも劣らぬ大変に美しいものだった。それとは別に、ブックオフの１００円コーナーは、いつになく賑わっていなかった。 練馬駅を通り過ぎる頃になると、無性に喉が渇いてしかたなかった。今…

埼玉に入ったのは、ほんの少しの間であった。 このとき私は埼玉の地を走っているとばかり思い込んでいたのだが、実際は埼玉に入ってすぐ、練馬に戻っていたのであった。ひたすら自転車を扱ぎ、大泉学園町にまで来てそのことに気がついた。私的にはもう少し埼…

さて、そうこうして私は埼玉との国境に差し掛かった。 が、そこを通る私には、どこが国境であったのかいまいち分からなかった。そもそも国境というと何かこう大きなゲートがあって、さらにベルリンの壁のようなもので遮られているのではないかと思っていたの…

昨晩から計画を立てていた。 「今日は北を目指そう、東京の最果てを目指そう」と。 それ以外の目的など何もなかった。 ただ、どこか遠くへ行ってみたい気分があった。 出発の前に、地図で大よその行くべき場所を検討付ける。板橋を通り、練馬へ。そして目指…