たまには
ある日、ぼくの前を通りかかったきつねさんがそっと話しかけてきました。
「君はどうして人間なんだい?」
その質問に、ぼくはなんて答えればいいのか分からなくなりました。
だって人間って何かわからないから。
いいことをするのも人間。
悪いことをするのも人間。
優しいことをするのも人間。
意地悪なことをするのも人間。
悔しくて涙を流すのも人間。
楽しくて涙を流すのも人間。
でも、本当のところはわからない。
だって、どれが人間だって言い切れないから。
まごまごして答えられないでいると、きつねさんはまた言いました。
「じゃあ、どうして君はそんな形をしているんだい?」
ああ。
その時ぼくの中で何かがはじけたようでした。
答えはいつでも自分が持っている。
誰かに答えを教えてもらおうと期待していたって、いつまでたっても出てこない。
自分でない誰かは自分というものを知るヒントをくれます。
でも、それはヒントであって決して答えじゃない。
だから、最後に答えを決めるのはボク。
そう、私自身なのです。