日本ダービーに賭ける情熱

スペシャルウィーク単勝1000円を買ったあの日から、もう幾年が過ぎたことだろうか。気がつけば三冠馬ディープインパクトが飛び出したり、筋骨隆々の凛々しいタニノギムレット、他にも数多くの名馬が東京競馬場のターフを駆けて行った。
当時の私はといえば、場外馬券場に雲霞のごとく群がる人々の歓声に圧倒され、遥か遠くに見えるモニターを覗くのに一苦労していた。煙草の煙が視界の邪魔をし、じいさんの叫び声がアナウンサーの実況を掻き消す。地面には紙屑と化したハズレ馬券の山があちらこちらにでき、通る人の足に絡みついていた。
それが私の見た場外馬券場の全てだった。
汚く、唸り声が、しかし熱気があった。



そしてまた今日、ダービーの日がきた。
あれから数年、今の場外馬券場はどうだろう。
何か変わっただろうか。
女性専用車両も登場した昨今だ、女性専用窓口があってもおかしくないのかもしれない。
しかしこれだけは言いたい。
「場外馬券場は、あそこはいつまでも汚いままでいてほしい」、と。
泥だらけの中だからこそ見れる夢がある。
湿った場所だからこそ、叫べる空気がある。
そんな、汚く、暗いイメージをあえて払拭しないで欲しい。
あそこはあのままでいい。
たとえばもし君がラーメン屋に入った時、店内がまるでデパートの化粧品売り場のようになっていたらどう思うだろうか。気持ち悪くてラーメンなんぞ食えたものじゃないだろう。ラーメン屋といえば、親父だ。その頑固な親父がいてこそのラーメン屋だ。それと同様に、綺麗な場外馬券場だなんて気持ち悪いのだ。



要するにダービー持ち出してまで伝えたかった事は何かというと、何でもかんでも女性ナイズしようとする現代に反対だってこと。
女性専用車両に女性専用サイト、女性専用・・・。
「より安全に」「優しさを追求」「簡便・便利」といえば格好いいかもしれないけれど、そんなマスコミがでっちあげたようなまやかし文句を真に受けちゃだめ。
本当の優しさや安全は、そんなところにないのだから。



*因みに今日の日本ダービー勝馬メイショウサムソンだそうです。
父はオペラハウスで、祖父にはサドラーズウェルズがいる超良血馬。