ディーダの危機

ほんの先々週まで商売順調だったディーダの店がよ、森さんのK1出場とかいろんな事があった後に、なんかぱったりと客足が途絶えちゃったのよ。これにはマスターも顔色真っ青よ。なんで客足が落ちたのか原因がさっぱり不明なのよ。うちとしても腕利きプログラマーの東方太郎氏と相談してるんだけど、彼もコンピュータ以外の事はさっぱりわからないっていうか、俺と話す時もアセンブラ言語でしか話さないから9割方何言ってるのかわからないんだけどさ。


とにかくえらいヤバいってんで、マスコミ大手のインタープレス社にうちの店を紹介してって頼んだのさ。そしたらプロパンガスがどうのって話をしだしてきたのよ。俺は咄嗟に、真珠夫人からもらったあのプロパンガス風船か?と思って、それを見せてみたら喜んじゃって。譲ってくれないかっていうんで、譲ってあげたのよ。ほら、紹介してもらいたいっていう下心があったからさ、この程度でいいならと思って渡しちゃったのよ。
バカだったね。ほんとバカだった。
インタープレス社の鬼頭さんってのが、その後新聞にプロパンガス風船の事を書いてて、大ヒットよ。
早速増産体制に入ったとかなんとかで、もう100万風船ほどの予約が入ってるらしいね。
黙って真珠夫人の言葉を信じて待てばよかったと思ったよ、ほんと。
ついでに言うと、ディーダの店の客足がさっぱりになったから、今度は学習塾でも開こうかって案が出てたのよ。色々悩んだ末にこれは廃案にしてしまったんだけど、今考えるともったいなかったかなとも思うね。というのも、ディーダの隣に新しくできたリコウ塾ってのが大繁盛しちゃってね。うちももっと早めに手を打っておけばよかったと思ったよ。