公園の片隅に咲く、小さき花のために。

そうこうしているうちに道に迷った僕らは、過去の航海日誌を読むことにした。



○月×日  曇り


今日もテムジンの家は見つからない。近くに公園があるという話は聞いていたが、その公園すら見つからないのだ。このまま走り続けることに疑問を持つが、通りすがりのおばちゃんの顔を見ると何故か元気が出てくる。この街には、そういう不思議な出会いがある。



▲月□日  晴れ

ようやくテムジンの家を見つける。黄色い鉄塔がピカリと光る素敵な家だ。
トイレの窓から気高くはにかんでくれる彼の笑顔が愛らしい。
中に入ることはできなかったが、それでも僕らの心の中にこの笑顔は刻まれ続けるだろう。





静かに航海日誌を閉じる。
あの時の光景を思い出し、目頭が熱くなった。
そうだ、思い出した。
僕らは行かねばならぬ。
もう一度あの場所へ。


つづくらしい。